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2020.02.14

自動機の手待ちで検査を活人

自動機の手待ちで検査を活人のイメージ

自動機は昼夜、検査は昼勤のみ

自動機オペレーターにある手待ち時間を活かして、検査を取込み検査員を活人する改善に取り組んだ事例を紹介します。

この職場では1ラインにオペレーターが昼勤1名+夜勤1名の計2名、検査員は昼勤1名の合計4名でした。

自動組み立て機で組まれた製品は本当はライン後ろの検査台で検査したいのですが、自動機は昼夜に対して検査は昼のみでした。

そのため自動機を出た製品はラインから別の場所に運ばれ、1日分から2日分の仕掛品を置き、昼勤作業者が来たら再び運搬していました。

この職場には全4ラインあり、合計で12名いました。

今回のポイントは3つあります。

①手待ち時間を明確にする ②定時管理で手待ち時間を増やす ③検査作業の動作の統一

定時管理でオペレーターの手待ち時間を増やす

そこでオペレーターの手待ち時間を調べると、1時間の内30分が手待ち時間だとわかりました。

検査時間は30分なのでちょうどできそうですが、オペレーターはトラブル対応があるため、あと10分手待ち時間をつくる必要がありました。

オペレーターの主な仕事は部品供給と製品の払い出し、そして設備トラブル対応でした。

部品供給箇所が複数あるのですが、補充タイミングが決まっていなかったため、オペレーターの判断で供給していました。

オペレーターはいつも歩きまわり、コマメに補充し、また設備を見てまわっているために手待ちがないように見えていました。

そこで定時管理を行いました。

部品補充を製品払い出しのサイクルを決めたのです。

30分おきに行う作業と60分おきに行う作業の2種類に決めました。

30分サイクルの製品は4箱、部品Aは1箱供給する、というように仕事の単位を定時管理にしたのです。

そうすると30分と60分のサイクルで行う時間が明確になり、ムダに歩きまわる必要がなくなりました。

その結果、手待ち時間は15分増えて45分になりました。

検査作業の手の動きと目の動きを統一

必要な手待ち時間を確保できたため、オペレーターに検査作業を取り込もうとしましたがうまく行きません。

検査項目は写真付きでわかるようになっていたのですが、わずか10秒で目視検査を行うためには、「手の動きと目の動き」で大きく時間が変わることがわかったのです。

よく見ると、4ラインの検査員4名とも「手の動き」と「目の動き」が異なっていました。

そこで一番検査時間が早い検査員の作業を観察し、なぜ早いのか調べました。

すると「右手と左手の使い方」と「目の動き」にムダがないことがわかったのです。

例えば製品を取る時は右側から右手でとるのですが、検査後に左の箱に置くときは左手で置きながら、同時に右手で次の製品をとる「両手作業」を行っていました。

ところが別の作業者は右利きのために、検査後の製品を左に置く際に右手で置いており、その後、空になった右手を戻して右側の製品を取りに行く空手動作がありました。

他にも目視検査の際の手の動かし方と検査箇所を統一しました。

すると目視検査員の検査時間が大幅に早くなりました。

そして、この統一された検査作業を、再度オペレーターに行ってもらいました。

するとオペレーターは時間内に検査作業を行うことができました。

生産性150%達成

その結果、オペレーター2名で検査作業を行えるようになり、活人1名となりました。

このラインが4ラインあるので活人は合計4名となりました。

生産リードタイムが2日から2時間に

さらに仕掛品が減りました。自動機で組み立てた後に別の場所に移動していた仕掛品1日分を置く必要がなくなったのです。

加えて生産リードタイムが大幅に短縮されました。

仕掛品が1~2日分あったため、生産リードタイムは2日から3日かかっていました。

ところが、自動組み立て機から出たら、オペレーターがけんさできるようになったため、わずか2時間で完成できるようになったのです。

仕掛品置き場も不要になり、その場所には新に生産ラインをつくることができました。

このようにオペレーターの手待ち時間を活かして、前後工程の作業を取り込む多能工に育てると、大きな効果が生まれます。

ぜひ取り組んでください。