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2020.07.26
低稼働率の時は多能工訓練で生産性向上へ
コロナウイルス、米中貿易摩擦の影響で受注減、稼働率低下している企業では、景気回復に時間がかかりそうです。
稼働率が低い時は、「多能工育成」を行い、生産性向上と今後の受注増加、繁忙時の残業低減につなげましょう。
今回の多能工訓練では、大きく二つに分けて事例を紹介します。
職場内で多能工を育成し、生産性を上げる
ある会社の切断工程では、作業者が3名いました。
Aさんは残業ゼロの8時間、Bさんは残業1時間しており、Cさんは定時で8時間労働ですが、1時間の余裕があります。
通常なら、CさんがBさんの仕事を応援し、残業ゼロにするはずです。
ところが、CさんはBさんの仕事を覚えておらず、応援することができませんでした。
自分の工程しか作業ができないCさんは「単能工」でした。
そのため、この職場ではCさんに手待ち時間が1時間あるにもかかわらず、Cさんが1時間残業していました。
そこでCさんにBさんの工程を覚えてもらい、「多能工」に育成しました。
その結果、CさんはBさんの作業を「助け合い」できるようになり、Bさんの残業はなくなり、この職場は残業ゼロになりました。
多能工訓練で多能工を育成し、助け合いで職場の残業を削減する、職場の生産性を上げることができます。
部署間の多能工育成と応援で会社の生産性を上げる
次は部署間の多能工育成と助け合い、応援です。
切断、加工、組立がある工程です。
切断工程は、先の多能工育成と助け合いで残業がゼロになりました。
次は余裕がある加工と、残業をしている組立です。
組立の3時間の残業時間を加工の余裕時間で応援すれば、組立は残業がなくなります。
しかしこのように部署を越えて、応援しあっている会社よりも「他部署だからしょうがない」と応援体制を作っていない会社が多いのが実情です。
この場合、加工作業のDさんが組立Gさんの仕事を覚え、EさんがHさんの仕事を覚えて、さらにFさんがIさんの作業を覚えれば、応援することができます。
他職場、他部門の仕事を覚え、多能工になることで部署を越えた助け合い、応援が可能になりました。
その結果、組立の残業時間はゼロになり、会社全体の生産性が上がりました。
このように、多能工育成は職場内だけではなく、隣の職場、別部門でも行いましょう。
自分の工程しか作業ができないCさんは「単能工」です。
稼働率が低い時、受注が少ない時は多能工育成のチャンスです。
まず職場内の多能工を育成してください。
そして職場を越え、部署を越えた多能工、マルチタスクができる人材を育成しましょう。
そうすれば全社で残業を減らすことあできるので働き方改革が進みます。
また、繁忙期の特定の部署に集中する残業を抑制し、ネック工程の解消につなげられます。
多能工育成は、生産性向上の基本になるので、継続して行いましょう。