カイゼン
経営
セルフリーダーシップ
2019.12.02
部署を超えた仕事をしよう
ミニ経営者をつくる
プラントエンジニアリングの方達と忘年会をして、とても興味がある話が出たので紹介し、どのように経営に活かすか提案します。
新素材を開発製造するために、ある自動車会社から独立してできた会社に、プラントエンジニアリング会社から転職した方がいました。
大手自動車会社の人と打ち合わせしても、彼らは「検討します」とすぐ持って帰ろうとする、こっちはすぐに決断できるのにどういうことなんだ、といってました。
その後、別の人が「20代で3億円のプロジェクトを任されて大変だった」と盛り上がりました。
この会社では、30歳前にプロジェクトマネージャーを任せる人材育成をしていました。
通常エンジニアリング会社は建設会社、ゼネコンと同じで、設計したら購買、建築施工をそれぞれ分業で進みます。
しかしこの会社では、早いうちに小さなプロジェクトを任せることで設計、購買を行い、建築施工管理(現場監督)まで一人で行う経験を積ませるのです。
そうすると、問題が起きると対応力、交渉力、判断力、決断力、そしてプロジェクトに利益を残す収益力が身につきます。
その後に大型プロジェクトで分業しても、全体像が見えているので積極的にメンバー同士がスムーズに協力しあえます。
これはまさにミニ経営者をつくっています。独立した建築士事務所経営と同じなんです。
「自分の責任で仕事を進める」ことが身についているので、当然その場での判断、決断ができる人材が育つのです。
技術、購買、出荷まで体験する強み
この会社以外に部署を超えた仕事の仕方を紹介します。
機械設備製造の会社では技術の人は図面を引いたら終わりではなく、さらに部品発注、そして出荷納期管理まで責任を持って行っていました。
出荷に間に合うように部品納期を間に合わせ、製造と打ち合わせをして工場出荷に間に合うように、部品の遅れなどもこまめに共有していました。
ところが社長が変わると、「技術は技術に専念しないともったいない」と技術、購買、工程管理は別々に変えました。
通常の分業体制です。
すると前のように「なんとか出荷に間に合わさなきゃ」と顧客の顔が浮かばないようになりました。
部品納期が遅れても製造に連絡が遅れる、製造も「部品が来ないから遅れてもしょうがない」などセクショナリズムが発生しました。
技術は設計で忙しく、出荷管理をする必要がなくなったため、そこまで必死に調整しようとしなくなりました。社長が変わり、もとに戻そうと苦労していました。
次に食品製造の会社では、製造課の仕事を、商品開発課が行っていました。
なぜかというと、「商品開発をして原価を決めたら、その原価通りにできるように製造までみるように」との社長の英断だったのです。
本人たちは「大変だから商品開発だけにして、製造は分けてほしい」と言っていました。
それをやると「予算と実績管理が別になり、責任感がなくなるから、今の方が経営にはいいですよ」と答えました。
自分で開発したら、その通りの原価でつくって利益を残すだけではなく、それを次の商品開発にフィードバックし、コスト意識をもった開発を行う。
この会社が高い利益率を誇る理由が、ここにあったのです。
顧客の眼で仕事をしよう
分業し専門化すると、工具、機械装置が進化発展して生産性が上がります。
しかし逆に部門間の情報ロスがおこり、セクショナリズムが発生します。
「よその部署の問題だから」「上を通さないと」など組織の壁ができるのです。
それを防ぐには、他部署を経験する「社内インターンシップ」を行うといいでしょう。
年に一回は他部署で働いてみる。
そうすれば相互理解が進み、文句は言わなくなりますし、また協力しやすくなります。
できれば顧客に近い部署がいいです。
例えば営業だと顧客の生の声が聞けます。
工場だと出荷検査で顧客の眼で品質を見る眼を養い、それを基準に各職場で仕事をするようにする。
全ての部署が「顧客のために」仕事をすれば、セクショナリズム、組織の壁はなくなるはずです。
ぜひ「仕事の原点は顧客のために」あることを起点にして、部署を超えて仕事をしましょう。