カイゼン
トヨタ生産方式
セルフリーダーシップ
2019.11.13
段取り改善の心構え
テクニック・手法だけでは行き詰まる
段取り改善をする際に、大事なことは、テクニックだけ学んでも、段取り時間は早くならない、ということです。
これは全てのカイゼンに言えることですが、どれだけ知識、テクニックを学んでも「行動」が伴わわなければ、「結果」は出ないのです。
「そんなの当たり前」だと思うでしょう。しかしその当たり前のことが、当たり前にできる職場は、カイゼンのレベルが高い職場なのです。
残念ながら、「段取り改善したら、機械が動かない時間が確かに短くなるから、残業時間も短くなるね」とばくぜんと思っているだけでは、ニーズが薄く変えようとしないことが多いのです。
手法とテクニックが分かれば行動に移せる人は、少数派なのが現状です。
はじめにニーズありき
大事なことは、「何のために改善するのか?」です。
段取り改善の目的の一つは、在庫を減らすことです。
在庫を減らしすため平準化生産、多品種生産に取り組むと、段取り替え時間が増え、非稼働時間が増えるのを抑えるために、段取り改善に取り組みます。
また単に非稼働時間を減らし、生産性向上を図り、同一稼働時間での生産量を増やす、もしくは残業時間削減を行うことが上げられます。
このようにニーズをハッキリさせ、目的を現場で共有して取り組むと、「そのために何を行うか」と手段を選んで実行に移しやすくなります。
目標を決める
「何のために行うのか」、目的を明確にしたら、そのための目標をハッキリ示し、共有します。
例えば「段取り時間60分を半減し、30分にする」。
そうすれば時間を測り、記録することで、意識するようになり、カイゼンをしていくことで成果につなげていくことができます。
目標を達成するために創意工夫が生まれ、この段階で手法、テクニックがわかると、結果が目に見えて出るようになります。
「はじめにニーズありき」、そして目標、手法にテクニックがカイゼンで成果をあげるコツです。
掃除のレベルを上げる
ある大手電機メーカーの役員から、「シングル段取りに成功したから見に来て」と声がかかり、さっそく現場に行きました。
すると成型機の周りで「用意、はじめ!」の合図とともに段取り替えが始まりました。以前50分かかっていた段取り時間が、7分46秒で終わりました。
その後、役員と話していると次のように語ってました。
「いやあ、段取り改善は手法を取り入れれば、ある程度は早くなるけど、シングルにはならないよ」
「やっぱり掃除のレベルが上がらないと、シングルにはならなかったよ」と力説されました。
シングル段取りへの挑戦
ここでシングル段取りとは、ゴルフのシングルプレーヤーがシングルハンディキャップ10未満になると尊敬されることにちなんで、段取り時間が10分を切り、分数が1桁になることをいいます。
この会社の成型機では離型剤を噴霧するため、通常は離型剤が床に落ちて、靴が油だらけになります。
しかし、この職場は、床がとてもキレイで、床に寝転がっても油汚れがつかないレベルに掃除されており、離型剤自体が機械から飛び出ないようにカイゼンされていました。
掃除のレベルが上がるということは、モップ掛けを何度も何度も行うだけでは終わりません。油が飛び散るのが当たり前の機械をあきらめずに改善を繰り返すことで、「常にキレイ」という環境に変わりました。
そのこと作業者のレベルアップにつながり、さらなるカイゼン、シングル段取りへの挑戦に取り組むことができたのでしょう。
5Sの基本中の基本である「掃除」のレベルが上がれば、カイゼンのレベルも上がります。
キレイな職場をつくり、カイゼンに取り組んでください。