カイゼン
トヨタ生産方式
実績
2020.02.29
ジャスト・イン・タイムを実現する3つの条件
「必要なものを、必要な時に、必要なだけ供給する」ジャスト・イン・タイムを実現するために何を行えばいいでしょうか。
今回は「ジャスト・イン・タイムを実現する3つの条件」を、カナダの自動車用グリルバー製造工場の事例を交えて紹介します。
必要数によってラインタクトを決定する
ジャスト・イン・タイムを実現する条件その1は、「必要数によってラインタクトを決定する」です。
たとえば、事例の工場では1日生産必要数が15個でした。
1日の稼働時間が7.5時間、450分でした。
稼働時間450分を1日の生産必要数15個で割ると、「30分/個」となります。
つまり「30分に1個つくる」ようにラインタクト、ラインスピードを決定します。
このスピードから遅く、例えば40分に1個だと、40分×15個=600分=10時間となり、稼働時間7.5時間で終りません。
逆に早くなり、例えば20分に1個だと20分×15個=300分=5時間と、稼働時間7.5時間より早すぎることになり、その工程は「つくりすぎのムダ」を生んでしまい、「ジャスト・イン・タイム」から遠ざかります。
ジャスト・イン・タイムとは、お客のニーズに合わせる、つまり各工程がお客である後工程が「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」供給することなのです。
そのため「遅い」のはダメで、「早い」のもだめで、ちょうど間にあう「ジャスト・イン・タイム」を目指すために「30分に1個」のペースでつくることが大切になります。
後工程引き取りにする
第2の条件は「後工程引き取りにする」ことです。
改善前のレイアウトを見てください。
「①洗浄」後、「②研磨」に行くための仕掛品が2カ所に分かれておかれています。
これは「①洗浄」が、「②研磨」で必要な数を意識できていないために「つくりすぎ」ていることが原因でした。
そこで、研磨からの「引き取り方式」にしました。
研磨に6人いるので、6人に1個ずつ、洗浄済みの仕掛品を6個置くことにしました。
例えば研磨作業者Aが、洗浄済み仕掛品を取りに行くと、その場所が空きます。
そして洗浄作業者は、仕掛品が空いた研磨A行きの仕掛品を洗浄して補充します。
次に研磨作業者Bが引き取ると、洗浄作業者は同様に洗浄して、洗浄済み仕掛品を研磨作業者B行き置き場に置きます。
すると洗浄済み仕掛品は最大6個になり、6個を超えて洗浄作業者が作業をすることが出来なくなりました。
そのため洗浄済み仕掛品は「つくりすぎ」がなくなりました。
工程を流れにする
3つ目の条件は「工程を流れにする」です。
工程を流れになっていないと、いたるところに仕掛品が置かれ、「停滞のムダ」となり、生産リードタイムは長くなるために「ジャスト・イン・タイム」に供給することができません。
「工程を流れにする」ことで淀みをなくし、仕掛品が置けなくなると同時に、早く次工程に流すことが可能になるのです。
改善前を見ると、仕掛品の置き場がいくつもありました。
「研磨からの引き取り方式」を行ったことで洗浄後の仕掛品が2カ所あったのが、改善後は1カ所になっています。
また「②研磨」後にすぐに「③梱包」に行けばいいのですが、改善前は研磨工程の上に仮置きされていました。
しかし改善後は流れが出来たので、仮置きせずに「③梱包」できるようになりました。
その結果、68個あった仕掛品は14個まで減りました。
生産リードタイムは4.5日から7時間に減りました。
この職場はまだ「ジャスト・イン・タイム」への挑戦がはじまったばかりです。
まだ洗浄済みの仕掛品が6個あります。
しかし「後工程引き取り方式」が習慣となり、さらに「30分に1個」つくることができるようになれば、この仕掛品を6個から5個、4個と減らしていき、1個、最期は手渡し工程をつなげることになります。
ぜひこの3条件を活用し、生産リードタイムを短縮し「ジャスト・イン・タイムの実現」に向けて改善をすすめてください。