カイゼン

トヨタ生産方式

2019.10.28

「かんばん」はいらない!?

「かんばん」はいらない!?のイメージ

「かんばん方式=トヨタ生産方式」ではない

「トヨタ生産方式」と言ったら、「かんばんん方式でしょ?」と、「かんばん方式≠トヨタ方式」と勘違いされている方が結構います。かんばん方式はジャスト・イン・タイムを実現する大切な道具ですが、それは「=トヨタ生産方式」ということにはなりません。

「かんばん」の成り立ち

自動車1台に3万店の部品が必要と言われています。どれだけ部品が多くても、そのうち1点でも足りなければ、自動車は完成しません。しかし昔は、前工程が作った分を持って行く「押込み方式」でした。しかし前工程は「ダンゴ生産(まとめ生産)」だったため、1部品はたくさんあるのに1台分の部品が揃いませんでした。

そこで、アメリカにあるスーパーマーケットをヒントにしました。お客が必要なものを、自分で買い物かごに入れてレジに行く。同じように、前工程で、つくったモノを置いて、そこに後工程が必要なものを買いに行く「引き取り方式」を始めました。

「引き取りかんばん」は買い物カード

前工程から「何をいくつ」引き取るのかを記した情報が「引き取りかんばん」です。家庭で言うと「買い物カード」です。引き取りかんばんを使うことで、引き取り方式が実現できました。

「生産指示かんばん」でつくりすぎを押さえる

前工程では、一箱に一つの「生産指示かんばん」がついています。引き取りかんばんで1箱引き取られると、生産指示かんばんが外れます。すると、引き取りかんばんに記載された「何をいくつ」と書かれた情報だけつくることができます。

生産指示かんばんを使うことで、つくりすぎのムダを押さえることができました。

「かんばん」はジャスト・イン・タイムを実現するための道具

「かんばん」は、ジャスト・イン・タイム「必要なものを、必要な時に、必要なだけ供給する」を実現するための道具です。ですから、道具である「かんばん」=トヨタ生産方式、ということにはなりません。

道具ということは、目的を達成するために必要なら使うし、使わないこともあります。

「かんばん」がいらない場合

例えば、後工程と前工程が離れれているので「引き取りかんばん」を使用しますが、一貫ラインにしてしまえば、引き取りかんばんは必要ありません。

また、計画生産を止めて受注生産にする、後工程が必要な時間に合わせて前工程がつくる同期生産になれば、「生産指示かんばん」は要らなくなります。

「かんばん」を活用する

「かんばん」はジャスト・イン・タイムを実現する大切な道具です。組立工程では、前工程、購入部材からピッキングする場合には、買い物カードである「引き取りかんばん」があれば便利です。購入部材に「外注部品納入かんばん」を用いれば、過剰発注、欠品によるラインストップを防ぐことができます。

また、製品在庫の作りすぎをなくすために、生産ロットと最大在庫を決めて「生産指示かんばん」を使用します。

目的と手段をハッキリ区別する

「かんばん」はジャスト・イン・タイムを実現する道具なので、必要なら使用し、そうでないなら不要です。目的のために、必要な道具を選び、目的を達成することが重要です。

「ジャスト・イン・タイム」の実現を目指して、カイゼンに取り組んでください。