カイゼン

トヨタ生産方式

実績

2020.03.04

食品スーパーが人時生産性を活用して黒字化

食品スーパーが人時生産性を活用して黒字化のイメージ

食品スーパーがトヨタ生産方式と管理のカイゼンを組み合わせて黒字化した事例です。

ポイントは3つあります。

1.作業改善

2.人時生産性

3.朝礼で日々管理

作業改善で現場を巻き込む

決算書を見て経営計画を立てても、それを実行する現場が変わらなければうまく行きません。

今回はまず作業改善をして、「作業がラクにできる」ことからはじめ、現場を巻き込みながら生産性を上げていくことから始めました。

「トレイをとる」動作カイゼンを紹介します。

作業台の上の棚にトレイが置いてあるのですが、背が低い場合届きません。

そこで、①踏み台を持ってくる②登る③トレイを取る④降りる⑤踏み台を戻す⑥(踏み台をさわったため)手を洗う、手順でトレイを取ってました。

しかし「③トレイを取る」以外は全てムダです。

そこでカイゼン取り組むと、現場から「トレイを棚に入るだけ入れているから届かないのかも」という声が上がりました。

そこでトレイの量を手が届くまでしか置かないようにしました。

このままではまた誰かが同じようにたくさん補充してしまうかもしれないので、「3定管理」をして、表示をすることで「定品、定位置、定量」がわかる仕組みに変えました。

するといつも決まった位置にあるので「探すムダ」もなくなり、1日10分短縮できました。

このような作業改善を繰り返し、現場を巻き込んでいきました。

人時生産性で利益アップへ

現場のカイゼンが進んでも、その成果が利益につながるには「管理のカイゼン」が必要です。

本当に生産性が上がり、利益までつなげるために、現場でもわかりやすく、管理しやすい「人時生産性」を指標に使うことにしました。

分母に「人」を使うのはすすめません。

それはどちらも生産高が同じ場合、「5人」と「4人」の職場のどちらが生産性がいいか、と言った時に「4人」とは限らないからです。

例えば5人で定時8時間の場合と、4人で残業3時間行い11時間の場合ですと、

 5人×8時間=40時間

 4人×11時間=44時間

となり、4人で残業3時間の方が生産性が悪いことになります。

そのため、このように「人×時間」あらわす「人時生産性」で見る方が、より現場の実力がわかります。

また分子には「売上高、生産高、生産数量」などがあります。

「売上高、生産高」は利益を出すためにはすすめません。

それは商品、製品によって粗利、付加価値が異なるからです。

例えば単価が高い製品をつくり、人時生産性が高いとしても、材料費比率が高い、もしくは外注加工費比率が高い場合、利益率が低く、儲からないということがあります。

そのため、「材料費、外注加工費」を引いた付加価値で見る方が、より利益を出す見方になるのです。

そのため、この食品スーパーでは「付加価値人時生産性」を指標にしました。

赤字の食品スーパーが黒字なるには、「付加価値人時生産性3,000円」いけばいいことがわかりました。

1人が1時間働いたら3,000円付加価値をあげればいいのです。

朝礼で日々管理~現場経営~

「1人1時間3,000円」を達成するために、朝礼を活用しました。

朝礼場所のホワイトボードに、「青果、精肉、鮮魚、総菜」の昨日の付加価値人時生産性を書きました。

1カ月目は、朝礼で昨日の生産性を各職場から発表してもらいました。

すると一番付加価値が低い、野菜果物をカットするかそのままパック詰めするだけの青果が生産性が高い一方、一番付加価値が高い弁当をつくる総菜が一番生産性が低いことがわかりました。

青果は付加価値単価が引くのですが、生産性が高いために1人1時間当たりの付加価値が高いため、利益が出ていました。

総菜は1品当たりの付加価値が高いのですが、それ以上に人手がかかり、生産性が一番低く、大赤字だったのです。

2カ月目の朝礼では、先日の生産性に加え、本日の売上予想から立てた本日の生産性を加えて発表してもらいました。

まだ赤字のままです。

3カ月目に、みなさんに言いました。

「いつまで赤字の計画にしているんですか?」

生産性が3,000円行かないと黒字にならないこと、そのためにどうしたらいいか、聞きました。

すると「今日は全員残らずに、15時に2人帰ってもらいます」という部門がありました。

すると、その部門の生産性は3,000円になりました。

「今日から3,000円になるように管理して、発表しましょう」。

すると、どの部門も生産性が3,000円を超えるように人員配置を組み直すようになりました。

そしてどの部門も生産性が3,000円を越え、食品スーパーは黒字転換しました。

このように、現場を変え、現場を巻き込み、さらに管理のカイゼンをすることで「現場経営」に持って行きます。

全部門が毎日黒字なら、会社は黒字です。

現場改善と付加価値をあげる人時生産性を組み合わせ、黒字経営、高収益企業への参考にしてください。