カイゼン
トヨタ生産方式
2019.11.24
カイゼンは誰でもできる!動作のムダ⑥手待ちを活かす
「手待ちのムダ」はトヨタ生産方式のスターとなったムダです。
自動機の手待ちのムダと、ライン作業の手待ちのムダをとるポイントをお伝えします。
多台持ちで生産性を上げる
自動機にセットして、加工が終わるまで人が何もせずに待っている状態を「手待ちのムダ」と言います。
このムダをとることがトヨタ生産法域の出発点となったのです。
自動機Aをセットして加工が始まると、移動して自動機Bをセットして加工することで「2台持ち」を実現しました。
さらに3台持ち、4台持ちへと台数を増やし、同じ工程の機械を多く持つ「多台持ち」で生産性を増やすことが可能になりました。
同じ工程を受け持つ「単能工」でもできるため、新たなスキルを必要としません。
しかし多台持ちでは同じ工程を複数受け持つため、生産性は上がりますが仕掛が増えるため、リードタイムが伸びるといった問題が起こりました。
多工程持ちで生産性を上げる
そこで同じ工程を複数受け持つのではなく、前後工程を複数受け持つ「多工程持ち」を行います。
そうすればワークが次工程に流れていくために、仕掛品が少なくなり、リードタイムは短縮されます。
ただし複数の工程を受け持つ「多能工」になるため、スキルの習得が必要になります。
多台持ちでも生産性は上がりますが、多工程持ちによる生産性向上と仕掛削減によるリードタイム短縮にぜひ取り組んでください。
助け合いで生産性を上げる
次にライン作業での手待ちのムダを取るポイントをお伝えします。
作業者A、B、Cが並んで仕事をしており、図のようにバラつきがある場合、一番遅い作業者Cより早い作業者AとBは、早い分だけ仕掛品をつくるか、もしくは手待ちになります。
この場合、ラインスピードは一番遅いCのスピードでしか出来上がりません。
この手待ちをなくすためにどうするでしょうか。
作業者Bよりオーバーしている作業者Cの作業を作業者Aが「助け合い」作業で行うとします。
その結果、作業者Cの作業時間は早くなり、ライン全体の作業時間が早くなります。
この場合、ラインスピードが上がるので、残業を減らすことができます。もしくは一日の生産数を増やすことができます。
しかし、生産必要数からラインスピードは早める必要がなく、作業者Cのスピードでいい場合はどうでしょうか。
その場合は作業者Aの作業を作業者Bが助け合いを行います。
そして作業者Aをラインから抜いて「活人」します。
トヨタ生産方式では「省人」言いますが、山田日登志先生がソニーに生産革新を行った時に、「人を活かすから活人にしよう」となったことから、「活人」と言われるようになりました。
ラインから人を省くのではなく、抜いた人を活かしてください。
他のラインの応援に行く、カイゼンを行う、内製化するなど「人を活かす」ようにさらなる改善を進めましょう。