カイゼン
トヨタ生産方式
2019.11.04
在庫削減の3ステップ③現場を巻き込む
現場を巻き込むには、意識改革が必要
前回までの在庫削減の3ステップ①多品種少量生産、②リードタイム削減、を行うことで在庫は削減できます。
しかし、実際にそれを行う「人」を巻き込めていないと、実行に移せないので当然在庫は減りません。
それではどのように、人を、現場を巻き込めばいいのでしょうか。
現場を巻き込み、行動してもらうには意識改革が必要です。
通常は、「考え方を変える」になるでしょう。
おススメは「言葉と行動を変える」ことです。
現場で行動できる言葉にする
現場に行って、「在庫を減らそう」と言っても、「在庫を減らすには、どうしたらいいか」が分かりにくいのです。わからないということは、行動できません。
現場の人が、理解できて、行動できる言葉を使わないと、行動に移れないのです。
「在庫」は、現場でどのような状態で置かれているでしょうか。それは「棚、パレット、台車、箱」の状態で置かれています。
「在庫を減らす」ということは、「棚、パレット、台車、箱を減らす」ということになります。
「これから、会社にある棚、パレット、台車、箱を半分にするぞ!」と掛け声をかけると、行動に移れます。
目的と理由を理解する
もう一方で、現場の人には「在庫をなぜ減らすのか」「在庫を減らすと、どんないいことがあるのか」が感覚的に分かりにくいです。
例えば、「働き方改革で残業を減らそう」「人手不足だから、生産性を上げよう」というのは分かりやすいので、協力しやすくなります。しかし在庫が減ったら会社にどのようによくなるのか、それが自分達にどうよくなるのかが、説明なしで、誰にでも理解できるようになっていないのです。
在庫を減らすと、資金繰りがよくなり、キャッシュフローがよくなります。経営者、経理部門は分かりますが、それ以外の人には実感がわきにくいのです。
しかし在庫が減ると、製品倉庫が小さくなり、要らなくなると運搬と管理の人員が減らせます。さらに倉庫代、保険が減るので管理コストが下がり、利益アップにつながります。
そしてリードタイムが短縮すると、短納期対応が可能になります。さらに不良品発見が早くなるため、対策が早くなり、不良品が減ります。
このように、在庫を減らす目的、理由を何度も共有し、それと同時に行動できる言葉に置き換えて、実際に行動に移すことが必要です。
人は目的と理由を共有した方が納得し、幸福感が得られやすいのです。これは在庫削減だけにとどまらず、すべてのカイゼン、仕事に共通です。
ぜひ、目的と理由を共有し、現場で行動できる言葉を使い、在庫削減に取り組んでください。