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2020.03.25

Shingo publication Award受賞:海外のカイゼンと日本のカイゼンの違い

Shingo publication Award受賞:海外のカイゼンと日本のカイゼンの違いのイメージ

2017年に出版した「True Kaizen: Management’s Role in Improving Work Climate and Culture」(共著者Collin McLoughlin、CRC Press)がアメリカのShingo Instituteから「Shingo Publication Award」を受賞し、トロフィーが送られてきました。

2020年4月16日にアメリカのフロリダ州オーランドで授賞式でしたが、コロナウイルスのため10月に延期になったため空輸されてきました。

「True Kaizen」を執筆するために、2つのきっかけかありました。

現場の人を信用しない欧米文化

日本生まれのカイゼンを学びに、海外から経営者、マネージャーが多く訪れます。

彼らを工場に連れて行き、製造現場でカイゼン内容を発表してもらっていると、なぜか毎回同じ質問をされます。

「このカイゼンはなぜ現場の人が発表するのですか」

なぜそんなことを聞くのか、はじめは理解できませんでした。

しかしアメリカ、ヨーロッパ、アジアと地域が違っていても、毎回なぜか聞かれるのです。

よく聞くと、「現場の人にはカイゼンできない」という誤った認識がありました。

なぜかというと、事務所にいる彼らは白襟のワイシャツを着る「ホワイトカラー」。

現場にいる汚れが目立たない青い作業服を着た人は「ブルーワーカー」で、移民や難民、低学歴が大きいため、「決められたことしかやらせてはいけない」。

そんな文化なので、現場の人がカイゼンできるはずがない、と思い込んでいるのです。

ところがカイゼンの本場、日本に来たら、現場のの人が自分がやったカイゼンを発表しているから驚いていたのです。

会議室で身につけたカイゼン

ところが欧米ではカイゼンが経営者やマネージャーが会議室の研修に参加して、日本の武道の黒帯を意味する「ブラックベルト」の資格をもらい、カイゼンしています。

しかし現場でカイゼンせずに、会議室で習得した(知識を得た)ブラックベルトなので、カイゼンできません。

日本人なら誰でもわかりますが、会議室でどれだけ勉強しても、どんな武道でも黒帯がとれるはずがありません。

そのため、彼らがトップダウンで現場に指示するカイゼンは、うまくいかないことがあります。

世界中に「カイゼンとは一方的に指示されてやらされるもの」と誤解している現場の人が、たくさんいるのです。

カイゼンは誰でもできる

改善は「善を改める」と書きます。

だから誰にでもできることなのです。

残念ながら、 「もうカイゼンはいい」 と日本でも現場に行かない経営者が増えてきた気がします。

現場力が弱くなった会社では、どんなにすぐれた戦略を立てても、現場で実行できなければ絵にかいた餅になります。

現場力とトップダウンが組み合わさると、強い組織になります。

カイゼンで現場力を高め、トップダウンで戦略を現場に落とし込む。

全社にカイゼンを活かして、元気な職場、元気な会社が増えるよう切に願っています。